学生の頃、ある地方都市で「経営者大学」という小さな会社でアルバイトをしたことがあります。社長はもと東京にいた人で、定年退職したあと自分で「経営者大学」を立ち上げ、月に一回講演会を催すのです。その社長が言うには、地方の特に中小企業の経営者たちは、東京や大阪の大都市の大企業の情報やその経営方針またビジネスの仕方を知らず、また最先端の情報に疎い。そのため、自分の経験から、彼らのためにそうした大企業のトップの人たちを呼んで講演を聞かせたいというものでした。当時はインターネットもない時代だったので、こうした試みは大変有益だったと思います。何回かお手伝いしましたが、かなり有名な方がいらしたのを覚えています。

例えば牛尾治朗さんなどもいらしたことがありました。場所は毎回商工会議所の会議室を借りていたと思います。会費は一回一万円でした。講演者は、毎回社長が考えて、これぞと思う人に電話を掛けて交渉するのです。講演料はだいたい一回十万円だったと聞いています。でも、人によっては電話に奥さんが出て、「うちは二十五万頂きます」などと言って来る人もいて、私たちは「そんなに生活に困っているのかね」などと言っては笑っていました。聴講者も社長自ら、その地方都市の中小企業を回って、「経営者大学」に登録するように勧めて歩くのです。聴講しに来た経営者たちは、勉強熱心な方が多かったと思います。講演者の中には、必ずしもビジネスの話だけでなく、学者や特許の専門家もいました。いろいろな方面の方がいらっしゃったのでとても勉強になったのを覚えています。